ラジカセ考 「現代を潤す無骨な箱」
21世紀を向かえた現代、デジタル全盛期の世の中。
何でもあって満ち足りた現代なのに何かが足りない。
物には満ちあふれているが心が痩せてしまっている気がします。
それはある意味便利な物に頼り過ぎた結果、人間が本来持っている機能が
失われてしまったのだと感じる。
そんな世の中にあって1970年、80年代に生産されたラジカセが今、心を満たし始めてる。
ラジカセは日本が生んだ正真正銘メイドインジャパンのオーディオだ。
この、ポータブルオーディオという概念が凄く良い。
沢山の機能を一つの箱に押し込めた、まさに日本が詰まった小宇宙的な箱なのだ。
僕が考えるラジカセの定義は1.ラジオとカセットが付いている。2.把手が必ずある。3.電池で使える。
この3点がラジカセの定義と思っている。
あえてもう一つ付け加えるならばワンピースこそ最高なのである。
この時代に生まれたラジカセが奏でるアナログ音はノイズも癒しの音楽に変えてしまう。
そしてラジオの音のなんともいえぬ一体感が大好きである。
まさに現代が失ってしまったものがここに有る感じがする。
アナログの心地よさとラジカセの無骨なデザインは僕達に大切な物は何なのか?を
語りかけてくれる友達なのである。
デザインアンダーグランド主宰 マツザキジュンイチ